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これからの法改正の動き
同じ労働に対しては同じ賃金を支払うべき、という考え方が広まりつつあります。厚生労働省は、その具体的方策についての検討会(同一労働同一賃金の実現に向けた検討会)を発足させました。
検討会の開催に当たって、次の4点が検討事項として挙げられています。
・EU諸国における制度の現状と運用状況(裁判例等)
・日本の制度の現状と課題、日本企業の賃金の実態と課題
・日本とEUにおける雇用形態間の賃金格差に影響を与える諸条件の違い
・法改正、ガイドライン策定等に向けた考え方の整理
【1】日本での導入可能性
欧州は職務給、日本は職能給(職務+キャリア展開)なので、日本への同一労働同一賃金原則の導入はむずかしいとの議論があります。しかし、欧州でも労働の質、勤続年数、キャリアコースなどの違いは同原則の例外として考慮される場合もあり(合理的な理由)、この点を踏まえれば、日本でも導入は可能と考えられます。
法整備を行なうとともに欧州の例などを参考にしつつ、「合理的な理由」について、政府として指針(ガイドライン)を示すことが有用としています。
【2】同一労働同一賃金原則を導入する意義
同一または同等の職務内容であれば同一賃金を支払うことが原則であることを法律上明確にします。
この原則と異なる賃金制度等を導入する場合、その合理的な理由・考え方について、会社側に説明させることにより、賃金制度等の納得性・透明性を高めます。
【3】制度導入の緊要性
非正規労働者の処遇の改善を促し、多様な状況にある人々が能力を十分に発揮できる環境を整えることが一億総活躍社会の実現に寄与するとしています。
以上のような議論を踏まえ、労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法等を見直し、年内をめどに指針(ガイドライン)の策定を目指します。
注目したい法改正の動向
- 高速道路にナンバリング
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訪日外国人の増加などを背景に、全国の高速道路に番号を振ることが検討されています。
国土交通省では「高速道路ナンバリング検討委員会」を立ち上げ、どの路線に付番するか、付番のルールをどうするか、番号をどう活用すべきかなどを検討し、今夏までに検討結果をとりまとめたいとしています。 - 「民泊サービス」の中間整理
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民間の住宅に旅行者らを有料で宿泊させる「民泊」について検討している「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」では、このほど民泊の規制緩和についての中間整理を有識者会議に示し、了承されました。
「家主居住のホームステイ型を届出制で認める」「住宅か旅館業かの線引きは、営業日数を年間30日までとし、事前申告が必要」などの意見が出されています。政府は、平成29年の通常国会への法案(改正旅館業法案等)提出を目指しています。 - 公益通報者保護制度を見直し
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消費者庁では、「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」において、公益通報者保護制度の見直しに向けた第一次報告書をまとめました。民間事業者に関連した方策としては、
・事業者が自主的に取り組むことが推奨される事項の具体化・明確化
などが挙げられています。平成29年の法改正を目指します。
・事業者の自主的な取組みを促進するためのインセンティブの導入
・内部通報制度のさらなる導入・取組みの促進
・公益通報者保護制度の意義等についてのさらなる周知啓発
・通報者保護の徹底 - ランドオペレーターへの法規制検討
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長野県軽井沢町で起きたスキーバス事故を受けて、国土交通省は安全対策や法令整備の方向性をとりまとめました。
それによると、悪質な事業者に対する事業許可の取消等の厳しい処分の実施、罰則の強化、旅行業者への行政処分等の強化、旅行業者へバス会社を仲介する「ランドオペレーター」と呼ばれる業者に罰則を含む法規制をかけるなどの検討が行なわれています。
今夏をめどに、最終報告書をまとめる方針です。
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・エヌ・ジェイ出版販売